老人との2時間の立ち話

昨晩は20時頃に帰宅し、さっさといつものように6キロのランニングをした。調子が良かったので、最後の方は全力ダッシュでへたれラストスパートなんかして、息も絶え絶えでマンションの駐車場にたどり着いた。そこで、ついさっき追い越した見知らぬおじいさんに呼び止められた。
「一生懸命走っていましたね。」
「ええ、6キロほど走ったんです。昔学生の頃のようにとばして走ったら、ばてちゃいました。」
おじいさんは、68歳。小さな会社を経営されているらしい。背筋がピンとまっすぐで、白髪じゃなかったら50代と言われても納得するような元気な方だった。
その後、そのおじいさんと2時間ほど立ち話をした。
おじいさんの昔話、今の広島のようす、経済のこと、男と女のこと、家族のこと。いろんな事を話した。
今の広島を作ったのはおじいさんの世代だが、自分の子供達にいい広島を作ってきたのか、悩んでおられた。今の広島の様子をすごく嘆いていらっしゃった。
僕は、おじいさんたちの作り上げた広島に住んでいて、なにも不自由のない生活を送っている。確かに広島には特有の雰囲気があって、突出したアクションを起こすのをためらわせるのだけど、世の中はどんどん動いていて、その動きを眺めながら既存の仕組みのなかで生きているところがある。僕もそうなんだけど。
「なにかやるときは、命かけるんだよ」
「エリートとか、お金持ちの人についていっちゃだめだよ」
おじいさんはそう言った。
何故かそのときに、Appleのスティーブジョブスの言葉が頭の中をよぎった。

Stay hungry, stay foolish.

話が終わったら22時を過ぎていた。おじいさんとまた会うときがあるのなら、その時僕は、また走っているのだろうか。